ホバークラフトとは一体?
ホバークラフトの起原
普通、船というものは水に浸かっているから前に進もうとすると水の抵抗(摩擦など)をうけてしまう。そこで昔、ある人はこういう実験を試みた。船底に空気を入れ水に接する面積を小さくしてみる…。その模型の船は普通の船底をもつ船よりも小さな力で同じ距離を進んだのです。しかし船底に空気を貯めおいただけだとはすぐになくなってしまう…。空気を絶えず送り続ければいい。この模型の船にエンジンと空気ポンプを乗せ絶えず船底に空気を送り続けるようにしました。成功です。…?この際、船底を水面から浮かすことができれが水の抵抗がなくなりもっと小さなエネルギーで船を動かすことができるのでは…!!というアイデアが発案されていました。しかしその当時のエンジン技術では浮かせられる効率がよく軽いエンジンを製作する技術がなく、結局このアイデアは当時誰も見向きもされませんでした。しかしこれが現在のホバークラフト原型といえるでしょう。
ホバークラフトの歴史は浅く、1955年、イギリスのコッカレルがその特許を取得しています。しかし考案当初は実用面において大問題がありました。確かに水面から浮上しているので高速走行時でも大きな水の抵抗は受けないのですが、波などの障害物を乗り越えられないという問題でした。そこで試行錯誤の末、波などの障害物を吸収できるようにゴム製の「スカート」が考案され、水面や地面への追従性が良くなり、ついに実用化されそれが更に改良され、現在に至ってます。
ホバークラフトの実用化と有用性
1960年イギリスで行われたファンボローショー世界の注目を浴び、デビューしたホバークラフトは実用開発当初「エア・カー」とも呼ばれ、高速水輸だけでなく、水陸両用の画期的な輸送手段として陸上での用途にも大きな関心が向けられていました。1960年からの10年間は「スカート」が開発の大きなキーワードとなり、イギリスは国家的プロジェクトとして開発に取り掛かり、そして1970年代、世界で初めてホバークラフトのカーフェリーSR-N4(約200t)をドーバー海峡に就航させることに成功を収めた。またソ連・フランス・日本・アメリカ・中国もその後を追う形で開発が進められた。
現在、ホバークラフトは主にロシアとカナダで多く普及しています。これはきっと水上でも氷上でも走行可能という優位性があるからでしょう。そのほかの国では高速旅客艇や軍事用として普及しています。が、しかし万能と思われていたホバークラフトにも解決しようのない欠点があります。「針路安定性(操縦性)が悪い」、「小回りを効かせにくい」、「爆風による周囲に及ぼす影響が大きい」という欠点です。それは推進と操舵にプロペラ(風力)を利用していることにあります。したがって大型化にも限界があり現在世界最大の物でも550tと船舶としては小型です。
ホバークラフトの仕組み
右の図のようにエンジンでファン(送風機)を回し、空気を取り入れます。その取り入れられた空気はスカートとスカートと地面で囲まれてできる空気溜に送り込まれます。そして、そのスカートと空気溜に溜まった空気の圧力で船体を持ち上げ浮上させるという仕組みになっています。この図のほかにもスカートの形式はたくさんありますがだいたい右図のような仕組みになっています。